多様性の中で

ヒッポファミリークラブが主催する、
春のオープントラカレ講座が終わりました。

夏の様子はこのブログでも書いた記憶がありますが、
春は忙しさもあって最終日の2講座のみ参加しました。

トラカレ講座も8年目です。

欠かさずに聞いていた中村桂子さんの講座を逃し、
今回はあきらめに近かったというか、
もしかしたら人間て“あるもの”になってしまうと、
どうしようかなって考える生きものなのかな?

少なくとも私の気持ちの中で、忙しいという以前に
“なんとかして”ではなく“どうしようかな”という、
参加することに迷いがあったのです。。。

でもこの日は9講座中のラスト2講座、

山崎和夫さん 理論物理学/京都大学名誉教授
『数を楽しむ~先生に教えられたことを覚えるだけでなく、
 自分で考えて解った時の大きな喜びを~』

坂東昌子さん 理論物理学/愛知大学名誉教授 京都大学基礎物理研究所フェロウ
『ヒックス粒子のお話し~物理学がやれること、やれないこと』


に参加し、お二人に会って、
そんな自分を後悔したなんてもんじゃありませんよ~。


こんな人たちに会えるチャンスを逃すなんてもったいない~とね。
10代で出会っていたら違った人生を歩んでいたかもしれない。。。
そう思わせるくらいの衝撃ですよ。


講座の内容についてはここでは書きませんが、
開催弁を話すお二人の話しぶりが、まずステキ!

優しいんです。
そして面白い。

ハイゼンベルグとかボアとか、
湯川さんとか南部さんとか、
ノーベル賞を取ったような方が、
いやいや教科書に出てくるような人たちが、
お話しの中にどんどん登場してくるのです。

そんな人たちから学び、また影響を受け、
はたまた肩を並べ、研究していたようなお二人です。


私の生活からは、かけ離れた内容の様に感じますが、
その人自身の面白いって思ってることが、
ストレートに伝わってくるから、
聞いてる無知な私でも“わかる!”がいっぱい。

これって凄いことですよね。

ん~でも専門的なことが理解できたとか、そういうことではなく、
モノの見方や考え方がわかるから、あんなにわかった!わかった!
という感覚になるのだと思います。


たくさんのことばをやっていると、
わからないことはど~でもよくて、
わかったところから、いろんなことが始まっていきます。


そこにはワクワクするようなことがいっぱい。
この日もずっとワクワクしていました。


大人の私がこれほどの刺激を受けているのですから、
一緒に聞いている青少年たちはどうなってしまうんだろう~。


この日一番心に残った出来事がありました。


午前の山崎さんの講座の最後に、
ある男の子が質問をしました。

『ボクは小さいころから物理学者になることが夢です。
 でも数学が苦手で歴史が好きなので、周りからはあきらめて違う道を、
 と言われるようになってきました。先生は進路に悩まれたことがありますか?』

そんな質問でした。

山崎さんがこの質問にどう答えたかは忘れてしまったのですが、
午後の講座の坂東さんが一緒に聞かれていて、
坂東さんは前に出て来て、彼にこんなことを云いました。

『君はさっき先生の問いに、自分の考えを書いていたよね』

これは、8ケタくらいの数字を書かれた山崎さんが、
この数字に書かれた法則をどう考える?というような問いでした。

答えを聞いてるのではなく、考え方を聞いているのですが、
そんな8ケタくらいの数字を見ても、質問の意味がまったくわからない私。

でも中学を卒業したばかりの彼は、
パッと手をあげ、数式をばぁ~~~っと書き始めたのです。

本当に私には意味不明。

でもそのことを、坂東先生は取り上げて、
『私はね、自分の研究だけではなく小学校でも授業をやったりしています。
 それはね、あなたみたいな子どもを育てたいからやっているのです。
 君はさっきあそこに自分の考えを書いたよね?』
 
『教科書に載ってるのを見たことがありました。』
そう答える彼に、

『普通の子は方程式に当てはめて考えるんだよ。
 でも君は違ったよ。君の考え方をあそこに書いたんだよ』


ただの数式にしか見えなかったのに、
坂東さんには、あれはことばなんだと思いました。

『君は数学が苦手なんかじゃないよ。
 本当に凄いよ。凄いことなんだよ。
 こんな子どもたちがいっぱい育って欲しいと思ってるよ。』


彼が投げかけた悩みへのエールであり、
教育という現場もよく知る方だけに、
子どもたちが何を育んでいけばいいのか切実に感じながら、
取り組んで下さっているんだと思いました。



私は少しだけ彼のことを知っていました。
同年代の子とは少し違う個性を持った、
表現豊かな子であることを。

でもその違いは、ひとつの括りの中では自由を失って、
成長と共に、自分を押さえなくてはならないことも。。。


彼のことをなんにも知らない人が、
君スゴイよ~って何度も何度も云ってる姿に、
込み上げてくるものがありました。


多様性ということばを、
最近は当り前に目にするようになりました。


先日も新聞の夕刊で、
~遺伝子のはなし~というコラムがありました。

「多様性」環境適応に大切

多様性がどうして大切なのか。
それは種の生存と密接に関係しています。
多様性が高いということは、
環境が変化した場合に適応して生存するための遺伝子を、
誰かが持っている確率が高いということを意味します。
恐竜は、地球の気候の激変に対応できず、
絶滅につながったとの説もあります。
何が起こってもそれに適応できる可能性の源は、
多様性にあるわけです。

~~~~~~~~~~


みんな違ってみんないい

金子みすずさんの詩にもありますが、
違いがあることはとても大切なこと。



この日10歳~シニア世代まで同じ空間にいながら、
多様であることの意味をまた噛みしめていました。











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2013-03-30(Sat)
 

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何人かから、山崎先生と坂東先生の講義のシェアを聞きながら、忙しいからと申し込まなかったことを、ちょっと後悔した私。じんこのを読んで、ますますそう思ったよ。もったいなかったな~
2013-03-31 12:19 | ゆーみんこ | URL   [ 編集 ]

あの場にいるってことが大きな意味を持ってるんだよね。
どんな芽が出るかわからない可能性を感じました。
子どもだけでなく、大人にもね。

でも一番面白いのは子どもたちの質問タイム。
大人は専門的なことを聞きたがるけど、
子どもたちはもっと面白い。
先生たちの人柄をあぶり出すような質問をするのだから。
先生たちは子どもたちの自然な振る舞いに感動してるのかも。



2013-03-31 20:31 | じんこ | URL   [ 編集 ]

ありがとうございます。ある男の子って、ビスのことですよね?当日興奮して帰ってきて、ものすごく楽しかった、今まで勉強してきたことがつながった、やっぱり基礎は大事だ、がんばるぞ~!塾とヒッポは、自分にとって大切な存在だ、と言っていました。私もその場に行って話を聞きたかったですが、親がいないからこそ、のびのびと自分らしく質問ができるのかな?とも思っています。本当に、いろんな人に育ててもらっているんだと思います。ありがとうございます。
2013-04-01 10:15 | はるちゃん | URL   [ 編集 ]

はるちゃんコメントありがとう。
子どもたちはいろんな人に育ててもらったほうが素敵な子に育っていくよね。
でも私たち親はそれと同じように、他の子どもたちを育てるんだよ。
それには我が子だけ見ていたらダメだね。
私も自分の子どもたちはいろんな人の手で育てられていると思っています。
感謝すると共にその気持ちを返していきたいなって思ってます。
だから子どもと同じ空間にいることは、とても大切なことだと思うな~。
2013-04-07 00:07 | じんこ | URL   [ 編集 ]

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2013-04-07 11:44 |  |    [ 編集 ]

講演会 神じんこのブログはじめて見ました ズボンがビリビリは大爆笑です
話にでてきた彼には森田先生の「この日の学校」も聞いてもらいたいなあ~
http://choreographlife.jp/
2013-04-19 11:21 | hide | URL   [ 編集 ]

hideさんコメントありがとう。
ご紹介のあったこの日の学校も訪問してみました。
興味深いですね。
紹介ありがとう。

2013-04-22 08:50 | じんこ | URL   [ 編集 ]

プロフィール

じんこ

Author:じんこ
ヒッポファミリークラブ東長崎(東京豊島区)木曜日を主催するフェロウ。
趣味は多言語と模様替え。
明治や昭和初期の家具たちが持っている存在感を愛おしみながら、その力を借りて家族5人、67㎡という決して広くないマンション生活を、流れる多言語と模様替えによって豊かにしています。

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